東京に戻る前日、お寺の行事があったのでアップします。
この日は永代経と竜の口法難会でした。永代経とはこの先ずっと、ご先祖の供養をするという意味で、自分より後の代にも供養が続くことを希望すると同時に先祖代々のルーツ(過去)を実感する機会でもあります。
もうひとつの龍口法難(たつのくちほうなん)とは日蓮宗独自の行事。日蓮上人の人生に4つのメジャーなアクシデント(四大法難)があったとされていて、そのうちの1つがこの龍口法難。江ノ島片瀬の龍口で起こったことから名付けられています。
詳しいお話は最後に書かせていただきました。

まずは裏方のお仕事。
大乗寺に祭られている仏様全てには毎朝御仏飯(ごぶっぱん)を上げますが、このように行事のある日はお仏膳も用意します。本日のお献立は全て福井の材料で手作りです。
親椀には納めていただいたばかりの年貢米で炊いた新米のご飯。
真ん中を高く山盛りにします。
これは通常の食卓でも心がけると奇麗に見えるのでポイントです。

汁碗には手作りの豆汁、
高杯に小松菜のお浸し、
ツボ椀は小豆煮、平椀には煮物。
もちろんお肉は無使用。
小さい頃からお膳を作ったり盛りつけることが私のオママゴトでしたので、無自覚ベジタリアンになった理由のひとつかもしれません。
気がつくとお肉が入ってない、という感覚です。どうりでたまに「肉汁の滴るバーガーが食べたいよう」とハズバンが呟くわけですね。

法要中の本堂です。
にぎやかな日蓮宗のイベントに銅鑼(どら)と妙鉢(みょうはち)はマストアイテム。手前に写っているのが銅鑼で妙鉢に合わせて「ごわーん」という普段絶対耳にしない雅な響きです。
妙鉢は二枚の大きな円盤。左右にもって回しながら部分的に接触させ「シャラシャラ..」と音をだします。その後二枚をあわせ「シャン、シャン」。再度「シャラララ..」と続けます。

さて次のお写真は、お坊さんが指からふいっと宙に黄色いものを離し、散らしているところです。
これは散華(さんげ)といって蓮に見立てた色とりどりの和紙です。
散らして道場を清めて供養するアクションを切散華(きりさんげ)と言います。声明とともに行われる幻想的なシーンで子供のときから大好きな瞬間です。

忙しい行事が終わり、住職からご褒美をいただいた裏住職の図。
お檀家さんからいただいた大好きな黒龍の「龍」をゆずってもらいご機嫌♬(ちょっと疲れてますが)
なくしたと思っていたMY前髪。せっかく前日に見つけたので、お寺に馴染むスタイルにしてみました。(hairstyleは地味すぎるのでアップしてません)

■ちょっと歴史と伝説話■
日本史が得意な方は日蓮が佐渡へ島流しにあったことをご存知かもしれませんが、その前の文永8年(1271)9月12日、鎌倉幕府の侍所所司であった平頼綱により鎌倉の草庵で逮捕され同深夜、江ノ島片瀬の龍口刑場にて斬首される計画でした。
しかし斬首されようとした際、江ノ島の辰巳(東南)の方より戌亥(北西)の方へ雷鳴とともに凄まじい光が出現して斬首は中止。この後、依智(厚木)の本間重連の館にお預けとなり、1ヶ月後の10月10日に佐渡に配流となったとか。
全て事件が起こった土地名から名前がついた
伊豆法難、松葉谷法難、龍口法難、小松原法難 が日蓮の四大法難。
日蓮上人の苦難の生涯を追想するための行事ですが、龍口法難は七難を免れる功徳を身をもって実証された現象としても伝えられているようです。